検査結果は治療法選択にどう影響?

投稿日2019年10月24日 投稿先 抜け毛

AGA遺伝子検査の結果は、自分が将来薄毛になるリスクを知るだけでなく、もし治療が必要になった場合に、「どのような治療法がより効果的なのか」を選択する上で、何らかの参考になるのでしょうか。現状と今後の可能性について考えてみましょう。現在のAGA治療の中心は、内服薬(フィナステリド、デュタステリド)と外用薬(ミノキシジル)です。これらの薬剤の効果には個人差がありますが、その差の一部に遺伝的な要因が関与している可能性が研究されています。例えば、「フィナステリド」の効果についてです。フィナステリドは主にⅡ型の5αリダクターゼを阻害しますが、この酵素の活性に関わる遺伝子のタイプによって、フィナステリドの効果の出やすさが異なるのではないか、という研究報告があります。同様に、「アンドロゲン受容体遺伝子」の感受性の高さ(リピート数)も、フィナステリドやデュタステリドの効果の程度に関連する可能性が示唆されています。感受性が高い(リスクが高い)タイプの人の方が、DHTを抑制する薬剤の効果をより実感しやすいのではないか、と考えられるわけです。また、「ミノキシジル」の効果に関しても、頭皮でミノキシジルを活性型に変換する酵素(硫酸転移酵素)の活性に個人差があり、これが効果の違いに関係しているのではないか、という研究が進んでいます。将来的には、遺伝子検査によって、これらの薬剤に対する個々の反応性を予測し、より効果が期待できる薬剤を選択したり、あるいは効果が出にくい可能性のある薬剤を避けたりといった、「個別化治療(オーダーメイド治療)」が可能になるかもしれません。しかし、現時点では、これらの関連性はまだ研究段階であり、遺伝子検査の結果だけを見て「あなたにはこの薬が効きます/効きません」と断定できるほど、明確なエビデンスが確立されているわけではありません。AGA治療法の選択は、あくまで医師が、患者さんの症状の進行度、年齢、健康状態、希望などを総合的に判断して決定するのが基本です。遺伝子検査の結果は、医師が治療方針を考える上での「参考情報の一つ」にはなり得ますが、それが決定的な要因となる段階にはまだ至っていません。検査結果を持参して医師に相談することは有益ですが、過度な期待はせず、医師との対話を重視することが大切です。