ドライヤーの熱風と薄毛への科学的視点

投稿日2020年10月4日 投稿先 抜け毛

ドライヤーの熱風が頭皮や毛髪にどのような影響を与え、それが薄毛とどう関連するのか、少し科学的な視点から考察してみましょう。私たちの髪の毛は、主にケラチンというタンパク質で構成されています。タンパク質は熱に弱く、高温に晒されると変性してしまう性質があります。一般的に、乾いた髪は約130度、濡れた髪はさらに低い温度(約60度から70度)でもタンパク質変性が始まると言われています。ドライヤーの温風は、吹き出し口付近では100度を超えることも珍しくありません。もしドライヤーを頭皮や髪に近づけすぎたり、同じ場所に長時間当て続けたりすると、毛髪表面のキューティクルが損傷したり、内部のタンパク質が変性したりして、髪がもろくなる、パサつく、ツヤが失われるといったダメージを引き起こす可能性があります。薄毛の方は、既に髪が細くなっていたり、成長期が短くなっていたりすることが多いため、このような外部からのダメージはさらなる状態悪化を招きかねません。頭皮に関しても、高温の熱風は大きな影響を与えます。頭皮の表面温度が急激に上昇すると、水分が過剰に蒸発し、乾燥を引き起こします。頭皮が乾燥すると、バリア機能が低下し、外部からの刺激に弱くなったり、かゆみやフケが発生しやすくなったりします。また、毛穴周辺の皮膚が硬くなることで、健康な髪の成長が妨げられる可能性も指摘されています。さらに、極端な高温は毛根部の毛母細胞に直接的なダメージを与えるリスクもゼロではありません。毛母細胞は髪の毛を作り出す工場のようなものであり、ここがダメージを受けると、正常な発毛サイクルが乱れ、抜け毛の増加や発毛不良につながることが考えられます。ドライヤーの風量も関係します。強すぎる風は、髪同士を摩擦させ、キューティクルを傷つける原因になることがあります。一方で、適度な風量は、頭皮の表面温度を上げすぎずに水分を効率的に蒸発させるのに役立ちます。最近の高性能なドライヤーには、温度センサーで髪の表面温度を監視し、自動的に風温を調整する機能や、低温でも速乾性を実現する技術が搭載されているものがあります。これらの工夫は、髪への熱ダメージを抑えつつ効率よく乾かすことを目的としています。科学的にも、ドライヤーの温度管理や正しい使い方は、薄毛予防や頭皮・髪の健康維持に重要とされています。