薄毛の私がオールバックに挑戦した日

投稿日2019年12月16日 投稿先 薄毛

私は若い頃から髪の量が多く、どんな髪型でもそれなりに楽しんできたつもりでした。しかし、三十代後半に差し掛かった頃から、明らかに抜け毛が増え、特に額の生え際が少しずつ後退してきたことに気づきました。いわゆるM字型の薄毛の始まりです。それまでは好んでオールバックにすることもあったのですが、薄毛を意識し始めてからは、前髪を下ろして隠すようなスタイルばかりを選ぶようになっていました。オールバックは、自分の弱点を晒すようで怖かったのです。そんな私が再びオールバックに挑戦しようと思ったのは、ある映画の主人公が格好良くオールバックを決めているのを見たのがきっかけでした。彼は決して髪が多いタイプではなさそうでしたが、実に堂々としていて、そのヘアスタイルが彼の魅力を一層引き立てているように見えました。私もあんな風に、自信を持ってオールバックにできたらどんなに良いだろう。そう思い、まずは情報収集から始めました。薄毛でも似合うオールバックのコツ、スタイリング剤の選び方、美容室での頼み方など、ネットや雑誌で調べられることは一通り試しました。そして、意を決して行きつけの美容師さんに相談したのです。「最近、生え際が気になってオールバックを避けていたんですが、また挑戦してみたいんです」と。美容師さんは私の髪質や生え際の状態をじっくりと確認し、「大丈夫ですよ。少し工夫すれば、きっと似合います」と心強い言葉をくれました。サイドを少し短めにし、トップには動きとボリュームを出しやすいようにカット。そして、スタイリングの際には、髪の根元を立ち上げるように乾かし、軽めのワックスでふんわりと仕上げる方法を教えてもらいました。仕上がった自分の姿を鏡で見たとき、正直驚きました。以前のように生え際が強調されることもなく、むしろ全体的にすっきりとして、どこか自信に満ちた表情に見えたのです。もちろん、薄毛が完全に消えたわけではありません。でも、以前ほど気にならなくなっていました。むしろ、このヘアスタイルを受け入れている自分を、少し誇らしくさえ感じました。その日以来、私は再びオールバックを楽しむようになりました。薄毛であることを過度に隠そうとするのではなく、それも含めて自分らしさと捉え、似合うスタイルを追求することの楽しさを知ったのです。