医師に聞く薄毛初期の治療法
「最近、抜け毛が増えた気がする」「髪のボリュームが減ってきたかも」と感じ始めたら、それは薄毛の初期サインかもしれません。不安に思う気持ちはよく分かりますが、早期に専門医に相談することで、適切な治療法が見つかり、進行を遅らせたり改善したりすることが期待できます。今回は、薄毛の初期段階における主な治療法について、医師の視点から解説します。まず、薄毛の原因を特定することが治療の第一歩です。最も多いのはAGA(男性型脱毛症)ですが、他にも円形脱毛症、脂漏性脱毛症、牽引性脱毛症など、原因は様々です。自己判断せずに、皮膚科や薄毛専門クリニックを受診し、医師による問診、視診、場合によっては血液検査や毛髪検査などを受けて、正確な診断を下してもらうことが重要です。AGAと診断された場合、初期段階でよく用いられる治療法の一つが、内服薬です。代表的なものにフィナステリドやデュタステリドがあり、これらはAGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する効果があります。これにより、ヘアサイクルの乱れを正常化し、抜け毛を減らし、毛髪の成長を促します。ただし、効果を実感するまでには数ヶ月から半年程度の継続的な服用が必要であり、副作用のリスクもゼロではないため、医師の指導のもとで正しく使用することが不可欠です。もう一つの代表的な治療法が、外用薬です。ミノキシジルを主成分とするものが一般的で、頭皮に直接塗布することで毛母細胞を活性化させ、発毛を促進する効果が期待できます。内服薬と併用されることも多く、相乗効果によってより高い治療効果を目指すこともあります。ミノキシジル外用薬も、効果が現れるまでには数ヶ月間の継続使用が必要で、初期に一時的な脱毛(初期脱毛)が起こることもありますが、これは治療が効いている証拠の一つとされています。これらの薬物療法の他にも、クリニックによっては低出力レーザー治療や、自身の血液から抽出した成長因子を頭皮に注入するPRP療法などが初期治療の選択肢として提案されることもあります。生活習慣の改善も、薬物治療の効果を高める上で重要です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理などは、頭皮環境を整え、髪の健康をサポートします。薄毛の初期症状に気づいたら、一人で悩まず、まずは専門医にご相談ください。