AGAも影響?加齢とホルモンの関係

投稿日2023年9月2日 投稿先 薄毛

加齢による薄毛の原因は、細胞の老化やヘアサイクルの乱れだけではありません。特に男性の場合、「男性型脱毛症(AGA)」の発症・進行が、加齢とともに大きな要因となってきます。AGAは男性ホルモンの影響で起こる脱毛症であり、年齢を重ねるごとにその影響が現れやすくなるのです。AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、酵素(5αリダクターゼ)によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、このDHTが毛根に作用することで発症・進行します。DHTの影響を受けやすいかどうかは遺伝的要因が大きいのですが、その影響が表面化してくる時期には個人差があります。若い頃はまだ毛根の活動性が高く、DHTの影響を受けていても、薄毛として顕著には現れない場合があります。しかし、年齢を重ねると、加齢による毛髪・頭皮の自然な変化(毛母細胞の機能低下、ヘアサイクルの乱れ、血行不良など)に、AGAによるDHTの影響が加わることで、薄毛が一気に進行したように感じられるケースが多いのです。日本皮膚科学会のデータでも、AGAの発症率は年齢とともに上昇し、50代以降では40%以上の男性が発症するとされています。つまり、加齢はAGAを発症・進行させやすくする背景要因となっていると言えます。女性の場合も同様に、更年期以降に女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、「女性男性型脱毛症(FAGA)」を発症・進行しやすくなります。これも加齢とホルモンバランスの変化が薄毛に繋がる例です。したがって、加齢による薄毛を考える際には、単なる老化現象としてだけでなく、AGAやFAGAといったホルモン性の脱毛症が関与している可能性を常に考慮に入れる必要があります。もし、生え際の後退や頭頂部の薄毛といったAGA特有のパターンが見られる場合や、更年期以降に分け目が目立つようになった場合は、加齢による変化だけでなく、ホルモンの影響も強く疑われます。このような場合は、セルフケアだけでなく、専門医(皮膚科など)に相談し、必要であれば医学的な治療(AGA治療薬など)を検討することが、進行を食い止める上で重要となります。