ここ数年、ずっと髪の悩みを抱えていました。若い頃は太くて量も多かった髪が、三十代半ばを過ぎた頃から、なんだか全体的にボリュームがなくなり、一本一本が細く、弱々しくなってきたのです。特に分け目の地肌が目立つようになり、毎朝のスタイリングに時間がかかるようになりました。最初は年齢のせいだと思い込み、高級な育毛シャンプーやトリートメントを試しましたが、気休めにしかなりません。それと同時に、体にも変化が現れ始めました。たいして食べていないのに体重が増えやすくなり、常に体がだるくて疲れやすい。冬でもないのに手足が冷たく、何事にもやる気が出ないのです。これも更年期の前触れかと諦めかけていた時、会社の健康診断で甲状腺機能の異常を指摘されました。精密検査の結果、診断されたのは「甲状腺機能低下症(橋本病)」でした。甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝を活発にする働きがあり、このホルモンの分泌が不足すると、代謝が低下して様々な不調が現れるとのこと。そして、医師から「髪の毛が薄くなったり、パサついたりするのも、この病気の典型的な症状の一つですよ」と告げられた時、長年の悩みの原因がようやく繋がり、目の前が明るくなるような感覚を覚えました。それから、甲状-腺ホルモンを補充する薬を飲み始めると、体の変化は劇的でした。まず、常に感じていた倦怠感が嘘のようになくなり、体が軽くなったのです。そして、治療開始から半年ほど経つと、明らかに髪に変化が現れました。細く頼りなかった髪にハリとコシが戻り、美容師さんからも「根元の立ち上がりが全然違いますね」と言われるように。抜け毛と体の不調は、別々の問題ではありませんでした。もし、原因不明の抜け毛と体調不良に悩んでいるなら、一度、内分泌の専門医に相談してみることを強くお勧めします。