仕事のプレッシャーや人間関係の悩みなど、現代社会に生きる私たちは常に様々なストレスに晒されています。この目に見えない敵であるストレスが、実は肥満と薄毛という二つの厄介な問題を引き起こす、強力なトリガーとなっていることをご存知でしょうか。ストレスを感じると、私たちの体はそれに対抗するために「コルチゾール」というホルモンを分泌します。コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、短期的には心拍数を上げたり血糖値を上昇させたりして、危機的状況に備える重要な役割を果たします。しかし、ストレスが慢性化し、コルチゾールの分泌が高いレベルで続くと、体に様々な不調をもたらします。その一つが、食欲のコントロール異常です。コルチゾールは、高カロリーで高脂肪、高糖質なものを無性に食べたくさせる作用があり、これが「ストレス食い」の正体です。さらに、コルチゾールはインスリンの働きを妨げ、脂肪を蓄積しやすくする作用もあるため、ストレスは肥満へと直結しやすいのです。そして、このコルチゾールは髪にとっても大敵です。コルチゾールには血管を収縮させる働きがあるため、慢性的なストレスは頭皮の血行不良を引き起こします。髪の成長に必要な栄養が届かなくなり、ヘアサイクルが乱れ、成長期が短縮されてしまうことで、髪が十分に育つ前に抜け落ちてしまう「休止期脱毛」の原因となります。つまり、ストレスを感じると、片方では食欲が増して太りやすくなり、もう片方では髪が抜けやすくなるという、まさにダブルパンチの状態に陥ってしまうのです。この負のスパイラルを断ち切るためには、自分なりのストレス解消法を見つけることが不可欠です。趣味に没頭する時間を作る、軽い運動で汗を流す、ゆっくりお風呂に浸かる、信頼できる人に話を聞いてもらう。どんな些細なことでも構いません。心と体をリラックスさせることが、肥満と薄毛の両方から自分自身を守るための第一歩となるのです。
見えない敵ストレスが招く食欲と抜け毛