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AGAに本当に手遅れはあるのか
鏡に映る広くなった地肌、指の間をすり抜けていく抜け毛。AGA(男性型脱毛症)の進行を目の当たりにした時、多くの人が抱くのが「もう手遅れかもしれない」という絶望的な感情です。しかし、その「手遅れ」という言葉が具体的に何を指すのか、正しく理解している人は少ないかもしれません。医学的な観点から言えば、AGAにおける本当の意味での「手遅れ」とは、髪の毛を作り出す工場である「毛母細胞」が完全にその活動を停止し、死滅してしまった状態を指します。毛母細胞がなくなってしまった毛穴からは、残念ながらどのような治療薬を使っても、再び髪の毛が生えてくることはありません。見た目がツルツルになっていても、毛穴そのものが閉じてしまっている状態です。しかし、ここで希望を捨てるのはまだ早すぎます。なぜなら、あなたが「もう手遅れだ」と感じている頭皮の状態でも、毛母細胞が完全に活動を停止しているケースは、実はそれほど多くはないからです。一見、髪が全くないように見える部分でも、マイクロスコープなどで拡大してみると、細く短い「産毛」が残っていることがよくあります。この産毛の存在こそが、毛母細胞がまだ生きている、活動を休止しているだけだという何よりの証拠なのです。AGA治療の目的は、この休火山のような状態の毛母細胞を再び活性化させ、か細い産毛を、太く長い健康な髪へと育て直すことにあります。AGAは進行性の脱毛症であるため、放置すればいずれ本当の手遅れに至る可能性はあります。しかし、裏を返せば、少しでも早く適切な治療を開始すれば、その進行を食い止め、改善させることは十分に可能なのです。「もうダメだ」と一人で結論を下す前に、まずは専門のクリニックで、あなたの頭皮が今どのような状態にあるのかを正確に診断してもらうこと。それが、絶望を希望に変えるための、最も重要で賢明な第一歩となります。
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こめかみ脱毛を始める前に知っておくべきこと
顔全体の印象を大きく左右する「こめかみ脱毛」。そのメリットに惹かれ、施術を検討している方も多いでしょう。しかし、顔のデリケートな部分であるからこそ、始める前にいくつか知っておくべき注意点があります。まず、こめかみは皮膚が薄く、骨に近い部位であるため、他の部位に比べて脱毛時の痛みを感じやすい傾向があります。特に、医療レーザー脱毛やニードル脱毛は、輪ゴムで弾かれるような、あるいはチクッとした痛みを感じることがあります。痛みに弱い方は、麻酔クリームを使用できるクリニックを選ぶか、比較的痛みがマイルドとされる蓄熱式の脱毛機を導入しているサロンやクリニックを探すと良いでしょう。次に重要なのが、「硬毛化・増毛化」のリスクです。これは、レーザーや光の刺激によって、本来細かった産毛が、逆に太く硬い毛になって生えてきてしまう現象です。顔や背中などの産毛が多い部位で稀に起こることが報告されており、原因はまだ完全には解明されていません。万が一、硬毛化が起きた場合に、保証制度や代替の施術(ニードル脱毛への切り替えなど)を用意しているクリニックを選ぶと安心です。また、こめかみは髪の毛の生え際に非常に近い部位です。施術者の技術力によっては、誤って髪の毛の部分まで照射してしまい、生え際のラインが不自然に欠けてしまうリスクもゼロではありません。どこまでの範囲を脱毛したいのか、もみあげとの繋がりをどうデザインしたいのか、カウンセリングの際に施術者としっかりとイメージを共有し、マーキングを丁寧に行ってくれる信頼できるクリニック・サロンを選ぶことが極めて重要です。施術後のケアも大切です。脱毛後の肌は非常にデリケートで乾燥しやすくなっています。保湿を徹底し、紫外線対策を怠らないようにしましょう。これらのリスクや注意点を十分に理解し、納得した上で施術に臨むことが、後悔のないこめかみ脱毛への第一歩となります。